もっとも複雑な人工物とは

　先日なにげに放送大学の放送を見ていたらソフトウェア工学の授業をやっていた。そこではジャンボジェット機とWindows95の部品数(ソフトウェアの方は行数を比較し、Windows95の方が倍以上の部品になっていることも含めて「ソフトウェアはもっとも複雑な人工物」という結論に行き着いた。

　確かにソフトウェアは複雑である。例えば料理では調味料の量が少しくらい変わっても許される場合が多いがソフトウェアはそうも行かない。少しでもバグがあると大騒ぎされる。つまり難しい所に来て完璧さを求められる。その意味ではもっとも複雑な人工物という結論には同感できる。

　しかし、ソフトウェアを商売とした場合、フリーウェアの氾濫により何でも無料で求めたがる人が多いために難しくなっているというのが事実だろう。
　 たまに掲示板などを見ていると「〜の機能があるソフトないですか？ できればフリーで」とどう考えても無料では配布されるレベルではないソフトウェアまで無料で求めたがる傾向が見て取れる。
　ソフトウェア開発者の立場の人間であれば全て無料で求めたがる傾向は減ると思われ、明らかに非ソフトウェア開発者の言動であることは理解できる。しかし、全て無料で求めたがる傾向は突き詰めると「ソフトウェア開発者の仕事は無料で構わない」と言っている様にも聞こえてくる。

　複雑な上に無料で求めたがられていては趣味の世界から抜け出すことは難しく商売として成り立ちにくい。もっとソフトウェアへの理解が必要なのではないかと思う。「もっとも複雑な人工物」なのだから。